R.H.の手記

友人のMが暴漢にナイフで刺されたというニュースを聞き、その日に予定されていた孫正義との対談をキャンセルし急いで病院に向かう。ルトワルスキをか けてくれという私の切迫した願いをどうしても聞き入れようとしないタクシーの運転手と激しい口論になり、互いに七代前の祖先を罵りあう。コトの不毛さに 気づき即座に和解、地井武男の「まだまだ」を合唱する。物足りなさを感じカラオケ屋に向かうが、武男が入っていなかったのでボックスをすべてたたき壊 す。警察が来たので運転手を気絶させ裏口から逃走。痛い時間のロスを悔やみながら再び病院へ向かう。面 会時間をとうに過ぎていたのだが、受け付けを殴り 倒し菊を掘ってやった後病室へ。一瞬の差でMは処刑されてしまっていたという場面 を演出するために、Mの点滴に空気を吹き込む。もがくMを抱きしめ、家 族に言い残すことはないか訊ねる。動きの止んだMの体を抱きしめその名を何度も叫ぶ。メロスになり損ねた。