近況

ここ数日、新譜の準備や仕事であわただしく日記を書くのもままならず。そんな中、先週の土曜、中学校時代の友人(以下、仮に服部君とする)が結婚し、式の二次会によばれて出かけた。当時仲良かったのはたしかだが、卒業以来、一度同窓会で二言三言口を交わしたのをのぞいてまったく付き合いはなく、正直なところ僕が行ってもいいのかなぁ、というのが本音だった。出席者は新郎の職場の同僚と、大学の友人がその大半を占めていたようである。ちなみに服部は大学時代に所属していた少林寺拳法部で新婦と出会ったそうだ。さらに現在は警備会社勤務であり、仕事仲間はみなさん警備員。式の出席者全員にリンチされたら僕の命はなかっただろう。中学組は僕をふくめて三人のみ。ひとりはキーボーディストで、ひとりは風俗情報のホームページをつくっている。この二人はよく地元であそんでいるそうで、着席するなり新所沢キャバクラばなしに花を咲かせていた。多いときは週三で通って、一回につき最低3万円は使っていたとのこと。つまり月40万程度、偽りの恋に費やしていた計算になる。いや、ひょっとしたら偽りが真実にバケることがあるのかもしれないけれど、それにしてもすごい投資だ。どうやってそんなお金を工面していたのか尋ねると、借金に決まってるだろボケとおこられた。おもに後輩から借りていたそうだが、それは借金じゃなくて恐喝じゃないだろうか。ちなみにキーボーディストはこの結婚パーティーもある意味キャバクラであると解釈したらしく、初対面である新婦の肩に手を回し、本気で口説こうとしていた。風俗君は社会性のあるひとなので、暴走するキーボーディストに歯止めをかけようと必死である。ちなみに新郎と我々はバレーボール部の友人。一度、試合かなにかの時、服部のお母さんが心をこめて握ったおにぎりを他の部員が勝手にたべて、お弁当箱をひらいた服部が号泣するという怪事件があった。服部はキーボーディストが食べたと信じ、恨み続けていたそうだが、この日、真犯人は本田君だということがあきらかになった。いまさら解いてもなんのありがたみもない誤解であるし、ひょっとしたら罪をなすりつけただけかもしれない。同級生の近況をいろいろきいた。数年前に同窓会へ赴いたところ、やけに肝の据わった風格を漂わせているかつてのクラスメートがいたので、はなしをきいたところ、実にユニークな経歴だった。暴走族にいたところまでは風の噂で知っていたが、その後は右翼団体に加入、凱旋カーで演説していたそうである。ただ、彼の場合、結婚を機に心機一転し、指を詰めることもなくなんとか抜け出ることに成功、いまは家族と平穏にくらしている、というのがその時。その彼が今どうしているのかときいてみたら、真っ当に働いてはいるものの、右翼団体に舞い戻ったそうである。同窓会の時は、おれは自分を取り戻したよ、みたいなことを言っていてちょっと感動していたので、なんだかさびしい気持ちになった。でもいろいろ事情があるのかもしれないし、よくわからない。それから結婚パーティーなので、ビンゴがあった。キーボーディストにはレゴのかたちをした無煙灰皿が、風俗君には安眠まくらがあたった。新郎新婦もしあわせそうで、とてもよいパーティーだったとおもう。それから、これは昨日のことだが、ミッシェルと杉本さんに会った後、木下君ともうちょっと飲もうというはなしになって、一緒に泉君のうちに行った。泉君が仕事で携わっているアニメをみせてもらい、たいへん面白かったのだけど、あれは多分放映前のテープなので本来部外者にみせてはいけないものにちがいない。泉君は上司におこられるのが大嫌いな、ガラス細工のように繊細で、箱根細工のようにアプローチのわかりにくいひとなので、ここで内容にふれておくのはやめておこう。ほかに特にすることもないので足じゃんけんという遊びをしてみた。これは、ルールはじゃんけんと一緒だが、グーチョキパーを手ではなく足でするのがミソ。グーとパーが見分けにくいのが難点だ。勝った人は勝利の美酒を飲むことができるが、負けた人も結局ヤケ酒を飲んでいたので、足じゃんけん自体の勝敗にさほど価値はなかった。大学時代には、手マージャン、鼻ずもうといったオリジナル遊戯でよく遊んでいたものだ。そういえば、みなさんはスタ丼をご存じでしょうか?国立と国分寺にあって、有り体にいえばニンニクの味しかしない牛丼である。それに生卵をかけて食べる。ジャンクフード最強メニューではないかとおもう。つい先日、支店が高田馬場にできたということで、三人でいってみた。ちなみに泉君はお昼もスタ丼だったそうで、お部屋にお邪魔するときリポビタンDを差し入れにあげていたことだし、いっそ夕食もスタ丼にしてやり場のない体力をいっそう蓄積させてほしいと願ったが、さすがにそれはキツいということでラーメンを注文していた。だが、スタ丼のお店のラーメンはぜんぜんおいしくなかったそうである。それから、いつだったかは忘れたけど『イノセンス』を観ました。固有の身体が曖昧になったとき、主体とはどのような存在としてあり得るのか、という問いなのかな。ほかでも散々いわれていることのようだけど、前作をみたのが遠い昔だと、おななしはたいへん難解だ。あとやっぱりCGのつるんとしたかんじはどうも違和感をかんじてしまうなぁ。でも球体関節人形のアクションがかなり面白かったです。アクションでおもいだした。『キル・ビル』の1作目をDVDで観た。まぁこの作品についてオリエンタリズム云々いうのは野暮というものであろう。だが、僕はアクションシーンの歯切れ悪さがすごく気になった。1動作ずつ撮影してあとで繋ぎましたという感がぬぐえない。格闘シーンを一呼吸でみせてしまうジャッキー・チェンの巧みさがまるでなかった。内容はともかく、運動の部分で薄っぺらいものをかんじてしまう。あとテアトル新宿で『ジャンプ』も観て、これはすごくよかった。出会いと別離を必然/偶然というジャッジ抜きにそっと抜き出してみせる手つき。牧瀬里穂、凄味がでてるな・・・。助監督時代の長かった監督のデビュー作ということだけど、さすがにツボをおさえた丁寧な演出というかんじ。テレビではみられない原田泰造の抑えた味をよく引き出していたと思う。