アメリカでは2

朝、シカゴを発ちフィラデルフィアへ。空港で現在米在住である琴の水谷さんとお会いする。タクシーで会場へ。コンサートの前に別のトークショーのようなものがあり、その間、水谷さんといろいろお話できた。ローチェスターで味噌ラーメンを頼んだところ、具なしみそ汁に麺をいれたものがでてきたとのこと。コンサートは、映画を流しながら即興するというものだったが、やっている最中にこれほど逃げ出したい気持ちになったことはかつてないかとおもうくらい辛かった。絶望的な気分になる。次のライブはブホブ・レイニーとのデュオだが、復活するのに時間がかかりそうなので、それまで一週間の間があってよかったとおもう。存知あげない方の家にお世話になって、一夜明けて、フィラデルフィア観光。念願のマッターミュージアムへ。たぶん医大付属美術館のようなところだが、かなり特殊な内容で、シャム双生児情報がとにかく充実。ホルマリン漬けから新聞の切り抜きまでありとあらゆる資料がそろう。本物、模造品問わず、人体の破片が多数。また、はじめて本物の死蝋を見た。かなり集中してみたが、同時に食欲を失った。
http://www.collphyphil.org/mutter.asp
http://www.roadsideamerica.com/attract/PAPHImut.html
そのあとデュシャンの展示がある美術館にいって、それからポーの住んでいた家へ。とはいっても二年弱しか住んでいなかったようだが、しかし、特にディスプレイされるでもなくかなりガランとしたかんじで、ここにかの人物がいたかとおもうと感じ入るところあり。バスで南へ。レコード屋がある、と聞いていたsouth streetへ。何軒かつぶれていたようだが、一件、地下室に安レコードがある店を発見。カントリーなどを買う。それから、教えてもらった別のレコード屋に行って、ボ・ディドリーなどを買い、その手前の古本屋の二階に1ドルレコードコーナーを発見。効果音入りこわい話レコードなどを入手、手応えあり。なぜか体力があったので街を東から西まで歩いてみる。何時間もかかったが、街の様子がわかってきた。やはり一日過ごせるといい。同じところに泊まったが、家主には会わなかった。翌朝、なぜか部屋におじいさんがいた。中国系バスでニューヨークへ。片道15ドルと格安で、窓が開けられず息苦しいのを除けば至極快適である。地下鉄にのってショーンの家へ。二年前に行って感動したベジタリアン向け飲茶へ。ここはほんとにおいしいので、ニューヨークへおこしの際はぜひ。
http://www.vegetariandshouse.com/
市内を散歩。橋をわたってブルックリンを往復。昨日に引き続き結構歩いた。帰ったら結構くたびれていて、そのまま寝てしまう。朝起きるとあまり気分が優れず。でもせっかくなのでグッゲンハイム美術館まで歩いたが、異常な暑さで日射病気味になり、見学にも集中力を欠き、逃げるように帰ってしまった。薬を飲んで寝ているとショーンが帰って来て、まだ寝ていたのかねと言われ、弁明する。しばらく寝ていたらやや気分もよくなり、タランティーノの新作を観に行こうかというはなしになったが、ショーンが見逃したとおもっていた"Into Great Silence"という映画が明日までやっていることが判明し、そっちにする。film forumという名画座で、すごくいい映画館だった。魅力的なプログラムが多そう。
http://www.filmforum.org/
映画は、監督が修道院に撮影許可を申し込んだところ、16年後に了承を得て、半年間ほど修道僧の生活を撮影したというドキュメンタリー。なにも尋ねてはいけない、といった規則があったらしく、環境音、生活音、鐘、歌以外の音は一切なし。わたしたちとはまったく別の時間が流れている空間がいままさに存在しているという事実に感銘をうける。何度も繰り返し挿入されるテキストがなかったら、もっと彼らの生き方を宗教的なものとしてだけではなく、生活としてクローズアップできたのではないかとおもい、やや残念ではあったが、それでもとてもいい映画だった。ぱっと探したところ情報は見つからなかったけれど、これは日本では公開されたのだろうか?公式サイトは以下にあった。
http://www.diegrossestille.de/english/
それからショーンとファラフェルをたべて、ちょっと散歩して、帰宅したら既に夜中だった。