R.H.の手記

今日は服部ライブの日。定期演奏会ではない。144曲の私の魂=ロケンロール。私はいわばシャーマンとなって魂を地上に降らす。言ってみれば客と私が一 体になるための「儀式=ロケンロール」。ウサギの血液とかを使う輩もいたらしいが、それも昔のこと。私は身一つ、裸一貫で会場をロックして見せよう。袖 から客席を見るともう満員どころではなく、3段肩車で私を今か今かと待ちかまえていた。すでに死者が出たとの報告が入る。つぶれて死んだのではなく天井 から首が抜けなくなって窒息したとのこと。さすがのわたしも小便を漏らしてしまった。まさにロック。しかし、こんなことでひるんではいられない。死者達 のためにもこのライブを何としても成功させねば。いや、その思考からして既に転倒している。誰かのための行為=ロケンロールなど欺瞞に過ぎない。私は私 自身のためにのみ行為=ロケンロールする独身者の機械と化さねばならない。無限の悪循環を高速化しツゥアラトゥストラ・ガンバ・服部が死者達の幽体を後 光として降臨することになるだろう。サバト=ロケンロールが始まる。流れる尿をぬぐおうともせずステージへ。オープニングの「いかすじゃないか奇形タ ン」で軽快な出だし、いい調子だ。以下「食め食め(はめはめ)」「君の瞳に100万ボルト」「もよおすよ」「歩けません」「生きてるだろう?」「僕の効 き目」「ドブの神」「一旦木綿」「感じるだろう?」「まだやるの?」「疥癬とビキニ(かいせんとびきに)」「人相」「ああねんごろ」「さみしくなんかな いよ」「転ばぬ先の味噌(みそ)」「梅毒野郎」「お試しあれ」「問題含み」「アンドレイ」「誕生秘話」「首を絞めたら死んじゃった」「守れ守れ」「友達だっけ?」「水着体操」「筋肉事情ならば俺」「召しませ隕石」「いわすぜ小猫ちゃん」「ミノカサゴ」「どんぶり割ったら金太郎」「傲慢な羊」「のった俺 そった俺」「頼んでおいてください」「ドレッド蛙」「みんな死ぬ」「毛虫にかつらをかぶせ、俺は・・・」「散財しません?」「嫁自慢で阿鼻叫喚」「誘拐 されました」「落としましたよ」「歩く錠剤」「ハンニバル一本釣り」「撃ってみな、俺死ぬ ぜ」「割れることの無い鍋蓋」「屁の出る五秒前」「全裸になり たまえ」「自殺点」「死を呼ぶ穀潰し」「深海に潜ったことはありますか?」「走ってあったまろう」「尼寺ドンパッチ」「バチコン民芸品」「壊滅道 場」「ハンデください」「ヒグマの生態」「小猫とブルヘリア」「一言断ってからしゃぶろう」「爆睡!!地球滅亡10秒前」「前貼り取ってよ」「吠えろ八 丈島」「おっきいんだよ」「撲殺違い」「水子のまなざし」「歴史にifはありません」「残す俺」「野伏せりの夏」「沈むジャンキー浮くジャンキー同じ シャブなら溺死がいいな」「タメ口きいたらべそかいちゃった」「撃て撃て」「帰れないので寝ます」「嘆き」「振り遅れ」「ハゼに乗れ」「要石」「ティ ン・パン・阿礼」「君に幸せ阿礼」「雨天決行切り捨てご免」「どうにも困らない」「雛芥子(ひなげし)を抱いた僧」「網の悪ふざけ」「蛆虫と呼ばれてみ ました」「インモラル相撲」「いんちき核実験」「寝過ごした隠密」「帝王切開延期」「地獄にかえってください」「みんなでどもろう」「インディーズ極 道」「みっちりしごきます」「舞い上がる屯田兵」「鈍器の恩返し」「踊れ!!端午の節句」「おつむの弱さは終わらない」「流れ解散」「ボラの暇つぶ し」「ケビン・ベーコン」「墓石を舐め上げろ!!」「ベレー帽を踏んでみそ」「一気呵成な蚤」「族議員」「夜な夜なビンタ・いっちょまえDV」「さまよ う下ろし金」「死相でてない?」「いつの頃からか、言葉に魔法をかけられるようになりました」「追試でオモラシ禿雨ざらし」「闇に葬り葬られ」「よそで やってくれ」「羽が生えますか?」「深海からの恋女房」「銀座の補遺の物語」「綿棒の呪い」「臓器移植に恋してる」「藁?長者(わらしべちょうじゃ)は マフィアのドン」「親不孝合戦」「インフラ」「粟と稗(あわとひえ)」「へりを歩け!!」「俺の子供は不用心」「ごまっとうの中でこれ以上続いてはならないこと」「荒技過ぎる」「怠惰な猛禽類」「銀蠅に学ぶこと」「留守電の主は沼の主」「葬儀中の笑いについての考察」「カリメロの暴行」「ドンマイ田中」「プリプリポインポイン」「豆を育てるよ」「不言実行だったらどうする」「祝詞自慢」「バケツリレー」「聖書を知っていますか」「小粋な軍属ど も」「けうけげん」「スカトロ真っ平ご免」「でんでん虫に変えちゃうぞ」「働く奴隷さん」「梅干しカフェで意識革命」「たいまつが生えた!?」「天知る 地知る明日死ぬ」「因業ゾウリムシ」「民度が低い」「服装の乱れは君涙目」・・・・・すごいよ。すごい。パブロフ心理学の反証を見いだす。もはや観客の 反応は俺の行為そのもので俺の行為は観客の絶叫そのものだ。観客の怒号なのかメンバー(奴隷)の奏でる音響なのかもはや区別 もつかない。まさに阿鼻叫喚。すごいよ。泣いているヤツもいる。それは俺だ。穴という穴から発汗、死を垣間見る。リズムに合わせて3段肩車が揺れている。天井にぶつかり首の骨を 折って既に絶命しているものの頭がい骨が、天井にがんがんぶつかり続けている。観客も汗をかいている。汗が湯気となって立ち上っている。いやあっちのあれは汗じゃない。命が空に戻って行くんだ。天よ。受け取ってくれ、俺の贈り物。激しい落雷。お返しだ。喜んでる喜んでる。バッチ来い。火の手が上がり、 観客全員が地獄の業火に包まれる。断末魔に変わった叫び声はさらに大きく。黒焦げになった元・人間は物そのもの魂そのもの叫びそのもの に・・・・・・・。ああ、ついにこの瞬間が。みんな、応援してくれて本当にありがとー。黒焦げになり、誰もいなくなった会場。煙がぶすぶす立ち上るなか 俺は一人きりだ。涙がまた溢れてきた。俺は泣きながら両手を天に向かって差し上げ、一人ウリムルの踊りを始める。