R.H.の手記

私の半生が3Dシューティングゲームになってプレステ2に登場。全部で108ステージ。次から次へと襲い来る自戒の念を、もちまえのきっぷのよさと開き直りで打ち落とす。各ステージは世界各地の死生観がモチーフになっており、輪廻転生、最後の審判、永遠の孤独、神の将棋の駒だった、全部ゼロからやりなおし等、さまざまなテーマが設けられている。ボスキャラは私がお世話になった方々で、優しさの裏側に妬みや嫉みを隠し持っている。私は泣きながら家に火をつけ、自ら手を下しておきながら亡骸を前に膝を折り、頭を垂れる。人型の石を拾うと徒歩から駆け足にパワーアップ、牛骨を両腕に縛り付けると皮膚に黄疸があらわれ、吐き気がする。画面 奥へ進んでいくタイプのスクロールだが、視界が狭く、あたりは闇に包まれている。私は、自分では操作できないゴンドラの上を往復している。ラクダの瘤を切り取ると中に善人か、悪人が入っているが、顔は全く同じなので見分けはつかず、切り取った時点で養分を摂取する器官が失われるので絶命する。敵をたおすと、私の中のなにかが消える。それがなんだったのかは、もう思い出せない。輪郭だけが、遠くの方でぼうっと瞬いている。終わりに近づくにつれ光と闇は次第に滲み、私はどんどん薄れてきて、いつしか壁のしみとなっている。そこからさきのステージでは、しみの色合いがすこしずつ淡くなっていって、グラデーションのなかの一要素へととけ込み、そのかたちを見出すことはもうできない。なお、プレイするには専用人型コントローラーが必要だ。予価7,800円。ソニー・コンピュータ・エンタテイメントより。