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レビューは結局さらに一晩かかってしまった。気晴らしに電車で数駅。喫茶店で高野慎三『つげ義春1968』を読む。著者はかつてガロの編集者だったひとで、白土、水木、つげといった作家の担当を経験している。漫画を読み、批評することと、自分の生き方を考えることがほとんど不可分になっているひとびとの姿に、嫉妬すらおぼえる。帰宅後『レプティリア』。トビー・フーパーのいまのところの最新作で、残念ながら日本では劇場公開されず、ビデオのみでリリースされた、ワニの映画である。とにかくこのワニがすごい。あっと思った瞬間に、被害者はすでに丸飲みだ。普通 は死体があったりするから、人間がこの世から一瞬にして消える、という表現は困難なはず。でも、この映画では存在が一気に切断されるのだ。また、ティーンネイジャーパニックものの体裁をとりつつ、丘の上の怪しげな屋敷、マッドなワニハンターなど、怪奇要素がちりばめられているところにもフーパーの心意気を感じた。