オフサイトでWrK角田さんのパフォーマンス+レクチャー。世界を認識する手段に関わる芸術。たいへん興味深かったのです。が、その後に行った日本怪談映画オールナイトに衝撃を受けてしまって、今ちょっと頭がそっちでいっぱいいっぱい。とにかく『犬神の悪霊』が筆舌しがたい作品でした。基本的には犬神憑きのはなしなのだが、呪いが乱反射していて、全く対処できません。誰かご覧になった方はいらっしゃいませんか。僕ひとりではとてもかかえきれません。『沖縄怪談逆吊り幽霊 支那怪談死棺破り』は、心の底から人生からデリートしたいと思える作品。これは一見二本立てに見えるが、一本だ。というよりも、沖縄と中国が舞台のそれぞれ独立した作品を、日華共同製作との触れ込みのもと、無理矢理くっつけたものだ。滅多に見れない映画なようですが、人類への警鐘として全部おはなしします。いつか見たいという方は絶対にお読みにならないでください。以下、勢いでかきます。舞台は沖縄。養父が急死したため社長の座に就いた婿養子が、原因不明の高熱に冒される。医者も見放してるのだが、どうやら妻があんまり美しいので、他の男にとられるんじゃないかと気が気でない、というのが原因らしい。うわごとのように、「女は信用できない、絶対に裏切る」と呟き続ける新社長。で、その女性全般 に対するいわれのない怨念が、突如たとえ話に展開。そこで、昔中国でこんなことがあった、という話に映画がシフトしてしまい、ここから「支那怪談死棺破り」がスタートする。老子の弟子となり、何にでも変身できるという術(この辺ちょっと不明瞭)を身につけたというおじさんが、数年ぶりに妻の元に戻ってくる。カラフルかつやる気のない踊りがはじまったりして、一応歓迎されてる模様だが、自分はずっと家を空けていたくせに、妻が自分を裏切るのではないかと気が気でない。妻は「あなたが死んだら私も死ぬ わ」とか言うんだけど、疑心暗鬼なおじさんは、術を使って妻を試すことに。どんな裏技か知らないが、彼は一旦死ぬ 。で、棺に死体を入れとくと、どこからかステキな王子さまがあらわれる。さっきまであなたを永遠に愛すわとか言ってた舌の根も乾かぬ うち、王子さまにメロメロになってしまう奥さま。で、案の定王子を誘惑し、夫の葬儀も済まぬ うちに結婚してしまう。式の後突如発作をおこしもがき苦しむ王子。なんと彼には持病があって、唯一の治療法は人間の脳味噌を食べることだという。青龍刀を振り回し、おつきの者に脳味噌よこせと迫る奥様。だがふと、そういえば生きの良い死体があることを思い出し、死体安置所へ。で、ここでフィルムが一部紛失していてなにが起こったかよくわからないのだが、どうやらそこで死んだはずの夫に出会ったようだ。で、夫と王子が交互にあらわれて、どっちが好きなんだよ、と迫る。もちろんこの王子は夫が化けているので、奥様は大混乱。高らかに笑うおじさんがアップになり、支那怪談はここでおしまい。また病気に苦しむ新社長にもどって、というわけで女は信用できないのだ、とおっしゃる。お前は絶対裏切る、裏切ると妻を罵る社長。すると妻はなにを思ったか、私が誰にも見向きもされないよう、醜くなればいいのですね、とかいって、自分の顔に刃物を突き立てる。で、この奥さんはお岩さんみたいな形相になるのだ。そしたら社長の病気は完治してしまい、今度はアケミという女性と浮気をはじめる。で、アケミに結婚をせまられ、今度は柄の悪そうな奴と組んで奥さんを運転手共々殺してしまうのだ。案の定幽霊となって社長とアケミと悪い奴を驚かし続ける奥さんと運転手。悪い奴と社長は、死体の足を釘で打ち付けると幽霊がでないという噂をききつけて、墓をあばき、その通 りにする。すると、そのせいか、逆さ吊りになった奥さんの幽霊があらわれて、寺の和尚に釘を抜くように懇願する。で、和尚は言われたとおりにして、また幽霊がでてきて、アケミと悪い奴は実はできてて逃げ出して、追いかける社長。ここでまたフィルムが消失してて、どうやら社長はアケミと悪い奴を射殺したらしい。そこでまた幽霊があらわれ、社長は恐怖のあまり崖から転落し死亡。奥さんと運転手が安らかな顔で天に昇っていくイメージが挿入され、成仏したことが暗示される。以上です。中川信夫監督の『東海道四谷怪談』は言わずもがなの古典的名作。でももうしばらくは犬神であたまがいっぱいです。映画って素晴らしいですね!