高橋洋さんが講演の時に上映されていたとの話を畠山さんに聞いていたので、1968年版テレビシリーズ『サイボーグ009』の「太平洋の亡霊」をビデオでみる。戦後30年を経過した真珠湾に突如ゼロ戦が出現、攻撃を開始する。ビキニ環礁 からは沈んだはずの戦艦長門が浮上。放射能をまき散らしつつサンフランシスコに向かう。長門を阻止するために米軍はなんと原爆を投下。まぎれもない悪夢だ。いろいろあった後、突如挿入される憲法第九条。こんなものが放送されていた時代があったのか・・・。感銘をうける。中公新書の『日本の憑きもの』を読んでいます。吉田禎吾という文化人類学者が、日本各地のキツネツキや犬神憑きをフィールドワークして歩いたというたいへん興味深い内容だ。もちろん『犬神の悪霊』の影響で読み始めたのだけど、あの映画自体、この本を下敷きにしてるのかも知れない。本書が1972年で映画が1977年、ここに出てくる事例がいろいろ映像化されていた。憑依は一種の集団ヒステリーで、社会的な精神病だ、というのが本書の論旨だが、『犬神の悪霊』では、スケープゴートを求めてヒステリックになる閉鎖的な村社会の精神構造と、ほんとにマズい犬神とのダイナミックな関係が見事に描かれていたんだナ。ラストではもっとすごい次元に突入していたけど。それにしても、犬神憑きは特定の家系に出る、というはなしは、要するに村八分の一種だろうけど、すごく興味深い。そういう家系を犬神筋というらしいのだが、本書にはその家系が多く出る地方が一目瞭然の日本地図がでてて、出雲のあたりにやたら多い、というのをデータとして見せられてしまうと、やっぱりちょっとぞっとしてしまった。しかしながら、共同体のタブーに触れる研究だけに、筆者の苦労が並々ならぬ ものであったことがうかがいしれる。おそろしいものに関心のあるひとは必読の書かと思われます。