数年ぶりに中学校時代の友人に会う予定だったのだが、直前に急用が入ったとの電話が入りお流れ。せっかく街に出たので『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』を見る。善悪二元論に寄りかかり過ぎているとの批判もあるようだが、そうかな? 先に進めば進むほど闇に蝕まれていくこのかんじ。八方ふさがりなのに、それを打破するには悪そのものに身を投じなければならない。なによりもおそろしいのは自分を内側から侵食してゆく悪で、おまけに侵食され尽くした成れの果てがうろちょろしているので、フロドにはほとんど絶望しかみえていないようだ。アラゴルンたちはヒロイックにがんばっているし、俗世のいざこざ自体にはそれほど興味がないエントが怒り狂った暁には悪の手先も打つ手なしだけど、やっぱり世界を覆っているのは絶望で、それをはからずも背負わされてるのは息も絶え絶えなホビットだ。世界を救うかもしれないのは、王家の血筋のヒロイズムではなく、脳天気ですらあるサムのばか正直さのほう。サムがなんかしゃべるたびに泣けてきてしまうのはそのせいかな。モルドールに入ってからの、あの、読みすすめるのすらしんどかったあの息苦しさが、どうなっているのか、三作目が楽しみなところ。