天誅ラーメン

今日、電車の網棚で拾ったコミック・バンチに載っていた読み切り漫画『殺し屋麺吉』は、国家に殺しのライセンスを与えられた屋台のラーメン屋さんのおはなしだった。殺しの依頼は「天誅ラーメン一丁」。この注文により、ラーメン一杯の値段で殺しを引き受けてくれるという・・・。ただし今回は、スーパーフリーをモデルにしたと思われる団体にだまされ、友人を自殺に追い込まれた若者が、噂を信じてこの合い言葉を口にしてみるものの、ラーメン屋がとぼけている間に轢き逃げされた。責任を感じたのかどうか、犯人を突き止め天誅を下すラーメン屋。わざわざ出前のふりをして犯人の家に上がり込み、ご自慢のラーメンを食べさせる。設定上、このラーメンはあまりにもおいしいので、食べた者は心の闇を語りだしてしまうのだ。ラーメンを食べながら自らの罪状を告白する犯人。食べ終わると、ドンブリの底にはなんと「天誅」の文字が! 「飲み干しちまったな、命のスープ」。このセリフを皮切りにラーメン屋の断罪がはじまるわけだが、最後はラーメンの岡持をギロチン代わりに犯人の首を切り落としていて、正義の味方らしいがなかなか残忍な一面も持ち合わせているようである。こんな殺しのラーメン屋が国家公認。凶悪犯罪に法は通用しないということなのか。世も末だ。これは新春特別読切ということなので、読者アンケートで好評ならば連載ということになのだろうか。その場合、悪人を成敗する前にラーメンを食べさせるという光景が毎週繰り広げられるに違いない。