山本負夫

アクセルとトニー・谷・バックとアミちゃんと近所のカフェで朝食をとる。オーストラリアから昨日着くはずだったアンドレアは、荷物の到着が遅れてフランクフルトで足止めをくったらしい。今日のライブに間に合うのかちょっと不安。リハーサルのため会場へ。教会みたいなところで、響きがとてもよい。よすぎてなんでもいいかんじになってしまうのが欠点といえば欠点だ。セッティングをしていると、窓の外は雪が積もり始めていた。寒さもこれくらい容赦ないと、気持ちが張りつめていいかもしれない。大友さんの『ミイラになるまで』ドイツ語バージョン。テキストを踏まえた演奏をするわけではないのでべつにいいといえばいいんだが、せっかくなんで島田雅彦のを読み返そうかな、とおもって行きがけに文庫本をつかんだつもりが、飛行機の中でみてみたら深沢七郎の『妖木犬山椒』だった。ぜんぜん違う・・・。あ、でももし『余録の人生』だったらちょっとミイラとちかかったかも。おしい。演奏はかんたんなコンダクションだが、指揮者自身が状態を把握できないようになっているところがキモである。噂にきいていたチューバのロビン・ヘイワードはやはりかっこよかった。スーとかシャーとかいうのでも、楽器が楽器なので音がふくよかである。このひとはベルリンのビッグバンド、phosphor以外にほとんどリリースがないのだが、注目株だろう。どう注目していいのかわからないのが難しいところだ。リハのあとはコーヒーを飲んだりして適当に時間をつぶす。そういえばキャプテンは今回、テープエコーを持ち込んでいるのだけど、当然空港で重量オーバーでたいへんだったらしい。ほかのみんなで荷物を振り分けで事なきを得たそう。でも、税関を切り抜けた直後のキャプテンの一言は「マイレージためればよかったかなぁー」で、まわりを凍り付かせたそうだ。さすがですね。しかし「服部フェスティバル」の次が「打ち上げフェスティバル」とはね・・・・。この二つ、交換可能な気がする。直前になってアンドレア到着。急いでセッティングして、間に合いました。お客さんも大勢きているなぁ、と思っていたら、日本人の青年に声をかけられ、だれかと思ったら高校の同級生だった。ここでは仮に服部君としておこう。僕の高校は三年間クラスがかわらないので、他クラスのひとと知り合う機会はほとんどないのだが、服部君とは何度か話したことがあった。彼はベルリンに4年半住んでいて、ちょうど明日帰るところなのだという。10年ぶりとかなんだよなぁ。奇遇もいいところだ。childrenを「チャイルドレン」と発音して、担任の英語教師、山本貞夫に「死になさい」といわれた共通の友人のはなしなど。山本先生はお元気なんだろうか。授業開始のチャイムと同時にやってきて、自分で休講にしてしまうという荒技でしられた先生で、僕は一度、教務の先生に「おまえの担任休み多すぎるぞ、いい加減にしろ」と怒られたことがある。筋違いも甚だしい。あと、つくるテストがものすごい難しくて、山本先生が担当してしまうと半数以上赤点。全員を上げ底するという処置がとられたこともあるらしい。ま、それはいいんだけど、懐かしかったです。高校時代の同級生でつきあいあるの泉君だけだもんなぁ。終わった後、カレー屋で打ち上げがあったんだけど、40人ちかくいたのに従業員が二人だけで、お料理がでてくるのにものすごい時差が生じていた。まだ食べ物にありついていないひとがいる中、とっくに終わって眠くなってしまったキャプテンとアミちゃんと僕はお先においとましました。としまるさんはビリヤードに行くんだすごい剣幕でまくしたてておられたが、ほんとに行ったんだろうか?