ベルリン〜ウィーン

泥が人間を襲う。そんなことが本当におこったのだろうか。


15〜19
ジャン、グザヴィエ、ニコスとフィロポポスの丘で録音。ベルリンに移動。別途ヨーロッパツアー中だった古池君と、アクセルと三人で飲んでいて、気が付いたら朝の5時くらいになっていた。しかし最近あまり二日酔いにならなくない。アクセル、古池、私とチューバのロビン・ヘイワードのカルテットにてどなたかのお宅でライブ。家主は不在。ソファーをどかして椅子をならべてと会場づくりをするのが楽しかった。アレッサンドロ・ボセッティも手伝ってくれた。アクセルはこういうところにやたら神経質で、あとで直すときにあらゆるものの配置を完璧に戻そうと化粧品の瓶と真剣に格闘しているのがおかしい。私の右側にブラス楽器が三人並んでいたが、誰の音だか区別つかず。開店したばかりというラーメン屋にみんなでいってみる。特に美味しくはなかったがライブ後並んでラーメンをすするというシチュエーションに親しみをおぼえる。夜、古池君の別ライブ。僕はアクセルやアネッタ周辺のミュージシャンしか知らないが、もっと若い世代で活動している人がいろいろいるようだ。古池君とサンプラーの人のデュオがよかった。その翌日、クリストフ・クルツマンがお茶に誘ってくれて、アンドレアと部屋までいったが同居人にクリストフは不在と告げられる。しかたないのでしばらく部屋で待って、なぜかまたヨーロッパと日本における死生観の差異について話し込んでしまったが、帰ってくる気配がないのであきらめる。せっかくだしコーヒーでもとはいったカフェに、クリストフはいた。待ち合わせ場所を間違っていたのだった。南米ツアーの様子や健康状態についていろいろと。がんばってくれ!カイ・ファガシンスキーが夕食に誘ってくれる。二年前にあったときはなんか気むずかしく近寄りがたいと思っていたが、最近印象がまったく変わった。まぁちょっとひねくれてるだけでシャイな好人物だ。つくってくれたピザがおいしかったが、これはピザの生地じゃない気がする。夜はベルリンに移住してきたミュージシャンによるフェスティバル。トニー・バックがオーガナイザーのひとりのようだ。みにきていたスヴェン・オク・ヨハンソンと知己を得る。ハマーホラーに出てきそうな出で立ち。遅刻して最初のクリストフのセットは最後の3分くらいしかみれず。申し訳ない。あとはチェロのトリスタン・ホージンガーなど。たしかに怪人だが、もはやノーマル・ストレンジネスとしか思えずこれは怪奇でない。フェスの主旨はよくわからないが、最後はなぜかフェラ・クティ風のバンド。業務を忘れセクシーな踊りを披露するトニー。終演後は酔っぱらって古池君の膝に座っていた記憶がある。その後ブーカード・バインズ、アンドレア、アクセル、古池君などと朝まで飲みほぼ全員泥酔。翌日、二日酔いにもめげずソニー・センターにあるフィルムミュージアムへ行ってみる。ムルナウやラングの資料があるにはあるがディスプレイの仕方にのみお金がかかっていていまいちのめり込めず。ただ最後にあったレイ・ハリーハウゼンについての展示は燃えた。アネッタの部屋に遊びに行く。最近アネッタは日本語のクラスに通い始めているのだが、ビジネス向けのようで、「わたしは銀行員です」とかアネッタに言われるとなんかおかしい。漢字の構造について説明してみるが、普段そんなことロジカルに考えてはいないのでこっちが新鮮だった。日本料理屋ささやにてごはん。大友さんはお元気ですか、とたずねられる。ベルリン滞在中は入り浸りのご様子だ。そういう私も翌日のお昼はアクセルとささやに行った。朝、アンドレアと録音もする。しかしながらほんとに人々の温かさにふれた日々だった。ここにいたら人間をたべる水たまりや双頭のロボットについて考えなくてもよくなりそうだ。


19〜24
ウィーンへ移動。クラウス、ノイド、ブーカード、ディター、クリストフらと深夜まで飲む。寒くなると足が痛くなるという持病がでて歩けなくなり、ブーカードに引きずってもらう。昔、医者にいってレントゲンもとってもらったんだけど、なんともないといわれた。非公認の神経痛である。翌日は天気もよかった。鉄道模型の老舗メルクリンの展示を見にウィーン・アート・センターへ。メルクリン、100年以上も歴史があるんだな。ミニチュアのなかを駆け抜けるNゲージにすっかり心を奪われる。夜はクエルでブーカード主催のクリスマスパーティーという名の飲み会。シルヴィアはミリオネアになり損ね若干へこみ気味。仇はキャプテンが討ちますと約束する。ラストのシュナップス3杯がきいた。ほぼ意識不明の状態で帰宅。次の日はディター、ビリーと技術博物館に行く約束をしていたがさすがに二日酔いで断念。フラフラしつつも楽器のチェックをしようとアンプを電源につないだら電圧の変換を通すの忘れていて、断末魔をあげる猫のごとき音とともにオシャカに。マズいとおもってブーカードのパワーアンプを借りて自分のスピーカーにつないだらこんどは出力が強すぎてこっちがオシャカに。マズい。ウィーンで困ったときは・・・ということでディターに電話したら一緒に電気屋さんにいってくれて、アンプはヒューズを交換したら立ち直ってスピーカーも買えた。いつも世話になってばかりだ。今度フナズシでも送ろう。アマン・スタジオでクラウスとレコーディング。さすがに音いいなぁ。プレイバック聞くと実際よりよく聞こえるのが問題だ。クリストフ・アマンは位相にすごい気を配っていて、勉強になる。そういえばllooppはつい最近バージョンアップしてバグが解消されてます。http://lloopp.klingt.org/ 結構いいものがとれたかもしれない。8時過ぎラドゥ・マルファッティ到着。念願かなってデュオ録音。1時間1セット。スペシャルな体験だった。二人でご飯をたべにいく。なんともすごい話だが、ヴァンデルヴァイザー楽派がネットラジオをはじめました。ラドゥの誕生日には、ニコスがチェロを弾いてるラドゥ曲を24時間流し続けていたらしい。http://radio.wandelweiser.de:8002/ ラドゥは一日このラジオを聞いているそうだ。その次の日もアマン・スタジオ。朝からブーカードと録音。去年キッドアイラックでやったデュオがよかったので、今回新たに録音してCDをつくろうという計画だが、この日だけで一枚分以上録れてしまったのでどうしましょうというかんじ。アマン氏は暖房の修理とコンサートの準備でパニック状態。スタジオ・コンサートはクリスチャン・フェネスがでていたこともあってか満員。グンター・シュナイダーの学生さんもみにきてくれていて、友達のやっているメタルバンドのCD-Rをもらった。それからこの日はビリーの誕生日だった。自分のためにこれだけ人が集まってきたと思いこむことにしたらしい。おめでとう。クラウス、ブーカード、私の三人で演奏。ちょっと散漫だったか。終わった後もみなさんで談笑。b. fleishmannの"WELCOME Tourist"がかかっていて、音はエレクトロニカというか、あんまり僕の好きなものではなかったけれど、2曲だけはいっているクリストフの歌がめちゃくちゃよかった。江崎さんみたいだ。繰り返し聞いてる。結局それからクラウスとノイドと、モモさんに紹介してもらったテティスさんとの4人でrhizにいって朝まで飲んで、早朝のカフェで朝ご飯もたべた。そのままかえって荷造りして、寝ないでディターとビリーの家にいってコーヒーをのむ。おみやげにroisz wineを1ボトルいただきました。飲みたい方は12/30ぜひ服部フェスティバルへ。ウィーン楽しかったなぁ。ここにいたら人肉墨汁や悪の海女について考えなくてもよくなりそうだ。かえりの飛行機では『ELF』『シンドバッド』『80日間世界一周』『きみに読む物語』。最近のディズニーものは見せ場をつくりすぎて全体に平坦になってしまっているような気がするなぁ。80日間はかなりヒドいものだった。往年のジャッキーはどこに・・・。でもサモ・ハンがでてきたところで不覚にも感涙。『きみに読む物語』は家を改装したら初恋の人が戻ってきたというはなし。一睡もできなかったがさほど退屈はせず成田着。かえってさすがに爆睡。夜、江崎さんに電話したら吉崎君と飲んでいて、お釈迦様の罰について少し話す。