広州

hibarimusic2006-06-17

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昨夜、われわれは足裏マッサージをうけていたのである。相当異様な光景だったが効果はてきめんで、ベッドにはいるとすぐ寝てしまった。ディクソンのノックでおこされたとき、時計は12時をまわっていた。そしてラム肉を食べようと連れて行かれる。一人だけ留まったマッティンは愚かかつ賢い。とてもおいしかったが、ラム肉は起き抜けにたべるものではないのだ。さすがに体がやや拒否反応を示し始めたようである。ごちそうはたまにたべるからごちそうなのだ。しかも値段が安いのが罠。死ぬほどたべても早稲田の一休より安いのである。電車で広州へ。亀ゼリーを売るワゴンが車内を何度も往復する。タクシーを分乗して会場へ、とおもったら、ジャン=リュックとベルトランと私は高級ホテルの前で降ろされる。さて困ったとすったもんだしたが、ディクソンとマッティンは同じ区画の別の角で我々を待っていただけであった。会場は広すぎず狭すぎずよいかんじだったが、ひとつ、鳥らしいオブジェがあって、どう見てもどこかの邪神をかたどっているようにしかみえないのが難点といえば難点か。マイクスタンドが運ばれているのを待つのに数時間を要した以外は準備は滞りなくすすみ、近所にまたご飯を食べに行く。食は広州にありとはよく言ったものだ。詳しい説明は省くがプリンみたいなやつとでかいビーフンみたいなやつ。かつてないほどのうまさだったが一口ずつくらいの量で留めておく程度には、我々も学習能力がある。座敷女をドレスアップさせたような人物がいるなぁとおもい、やや警戒して失礼してしまったが、とてもフレンドリーなその方はこの会場のオーナーであった。altmusicというサイトをやっている青年に広州の音楽状況について聞く。外からの情報が入手しにくいのはそうだが、聞き手の細分化が進んでおり、私はノイズファンだからアヴァンギャルドのライブにはいかない、といった人々がいるらしい。それぞれどう定義されているのかも興味深いところである。幸いか不幸か、今日は会場でサッカー放映はなされておらず、音楽目当てのお客さんが主だったようである。冒頭、マッティンがサングラスをしてビールを飲みながら「即興演奏のネクストとはなんだ!?ぐははははは」といったことをわめきちらす。しかしそれがとってつけたように聞こえないほど、その後の音楽も奇怪なものだった。強力な構造を突きつけられるのに、その由来も目的もわからないかんじである。自画自賛できる内容だが、このおもしろさをどう説明していいのかわからない。もうカタカタいうのとかやだなぁという理由に基づき今回はスピーカーもモーターも持ってこなかったが、その選択は正しかったとおもう。マッティンと一緒だからということもあるが音量もけっこう出しているのに意外と違和感はなく、いま音色とか弱音とか興味がなくなっているなぁと実感する。じゃあなんだといわれると、考え中としか答えられないのが辛いところではある。そのあとディクソン、マッティン、私のトリオ。それからジャン=リュックとベルトランのデュオ。この二人は、即興演奏のクリシェを避けよう的なクリシェが感じられないところがすばらしい。けっこう疲れてはいたが、こちらのオーナー、広州でクラブを経営していて、そこに部屋を設けてくれているというので断るのもしのびなく、4人乗りのタクシーに無理矢理5人のって押しつぶされながら移動。どうみても閉店して掃除の業者さんが入っている高級中華料理屋にみえるのだが、誘われるがままに三階へ。電気がついておらず、手探りで階段をのぼる。暗闇でしばらく様子をうかがっていると、お店の人があらわれて下だといわれ、ここでもしばらく待って、やはり上だといわれ暗闇で息を潜め、ということを、誇張ではなく数回繰り返した後、隣の建物に行けといわれて移動。ここがいわゆるクラブというところなのだろう。ドレスアップした人々が大音量の音楽に体をゆすりつつ、羽目をはずすのだ。泉君がたまに行くというので興味があったが、広州で学べた。再度、暗闇や行き止まりに幾度も翻弄された後、カラオケのある部屋に通された。これがVIPルームというところなのか。しかし、我々四人とディクソンがいるだけで、雰囲気は一休にいてもさほど変わらなかったのではないだろうか。みな、これ以上食べると死ぬという気持ちになっていて、飲食はほとんどせずだったので、一休ともいえない。そういえばこないだいったら、コロッケの味がかわっているという服部君の指摘に驚いたが、大コロッケはあの味そのままであったので安心した。服部君が一休でガッツを食べたことがないという話は本当なのだろうか。いつも率先して頼んでいたような気がするのでにわかには信じがたい。それはさておき、一応やっておかないといけないのかとおもい、中国語のカラオケを字幕をみながら適当に歌ったたら本気で疲れが出て、音量をオフにしてしばし歓談。しばらしてオーナーのエヴァも合流。映画が大好きで、明日はじめて映画を撮るのだという。お友達を28人招待したらしい。どういうシステムなのかはよくわからない。マッティンが、おれがサウンドトラックやるといいだして、二人は合意していたようだ。帰り際、エヴァにシーユートゥモロウといわれたが、これが明日の撮影にかりだされるということなのかどうか、今の時点ではまったく不明である。