生首情痴事件

いまラピュタ阿佐ヶ谷で和製ホラームービー・コレクションという特集をやっていて、今日は『生首情痴事件』をみた。67年大蔵映画製作の作品。大蔵というと『沖縄怪談逆吊り幽霊 支那怪談死棺破り』の悪夢をどうもおもいだしてしまうが、こちらは話が分岐しないぶんまとまってはいるものの、衝撃はまさるとも劣らない怪作であった。自殺にみせかけて殺すために、口移しで睡眠薬を飲ませてから線路に運び電車で首を切断するという、どうかんがえても化けてでるだろうという手法をとってしまう業の深さ。線路に乗せられた白い首がなんともなまめかしい。恐怖演出はかなりツボをえていて、砂糖が塩にかわっている、ハンコがおせない、といった祟り描写は脱力もののはずだが、ふざけているようにはみえない。愛人の顔面エピソードはじつにいやなものだった。あらゆる怨念と欲望がせまい病室のなかで暴走するラストはまるでシチュエーションコメディのようだが、動かない生首の背後から俯瞰するショットのせいで妙な生々しさがただよう。この企画は今月末までつづくので、もう何本かみれたらいいなとおもう。
http://www.laputa-jp.com/laputa/program/kaidan/
ラピュタはこのあと特撮映画の特集をやるようだ。メルヘンチックな外見の映画館だが、そのイメージ戦略は失敗しているとしかおもえない。
それから、来月シネマヴェーラ渋谷である『妄執、異形の人々』という特集のチラシを入手。これはおもしろそうだ。憑きもの映画の傑作『犬神の悪霊』を私は強くおすすめしたいです。