アメリカでは7

昨夜ブホブにきいたところによると、フィラデルフィアには毎年1月1日におこなわれる奇祭があるらしい。つまりは仮装行列だが、市井のひとびとの入れ込みようは尋常ではなく、何ヶ月もかけて準備をしたうえ、優勝できなかった人々はおのれの非力を嘆くあまり号泣するらしい。ブホブはブドウのかっこうをして顔を紫色にぬった壮年の男性が泣き崩れるところをみたことがあるそうだ。一夜明けて、朝近所でサンドイッチをたべ、ブホブと再会を誓い、駅に向かう。チケットを買ったはいいが、ぼんやりして関係ないインフォをながめてしまって、目の前で電車の出発を見送るという失態をおかしてしまった。途方に暮れるものの、駅員さんにきいたらわりとあっさり次の電車に振り替えてくれて、ことなきをえる。ニューヨークのペン駅について、地下鉄を乗り継いでいたら尋常ではない視線をかんじ、おそるおそるその主を確認するとショーンだった。この二日間、ずっと私の跡をつけていたそうだ。the issue projectにつくと、ローレン・コナーズがセッティング中、すでになみなみならぬ存在感をはなっていた。こちらも準備してから、今日録音してくれるバリーも一緒にショーンおすすめのシチリア料理屋のサンドイッチを食す。今回アメリカではけっこうおいしいものがたべられて、よかった。会場にもどるとデヴィッド・グラブスがきてくれていて、ラブクラフトばなし。わりと最近でた研究書の存在をおしえてくれた。
http://www.amazon.com/H-P-Lovecraft-Against-World/dp/1932416188/ref=sr_1_1/102-9545776-2452149?ie=UTF8&s=books&qid=1177824996&sr=1-1
序文をキングが書いている。さっそく注文してみる。ローレン・コナーズは心にしみいるものがあった。ショーンとのデュオも堪能。デヴィッドと二人でバーへ。愉快なジェントルマンである。そんなに飲んでいなかったのに、疲れていたせいか地下鉄でどっぷり眠ってしまい、気がついたらクイーンズまで来てしまっていて、あわてて引き返し、部屋についたのは夜中の2時頃だった。荷造り中、ショーンのひょうきんっぷりがクライマックスに達し、ひとしきり笑わせていただいた。