R.H.の手記

奴隷を一列に並ばせ、私の裸体が何を連想させるかを言わせる。「夜明けにまさに飛び立たんとする白鳥」などという陳腐な美辞麗句で私を称賛した気にな り、得意げに他の奴隷を見回したFは肥溜めに逆さ吊り、糞尿まみれで窒息死がふさわしかろう。相手の反応を伺うような下卑た根性を私が許容するはずもな いが、かといって「タイ米の緑色の踊り」などという私の理解を越えた形容もペケである。伝書バトにくくり付け八つ裂きにし、大空に飛び立たせてやった。 それ以上でも以下でもなく、それでいて私そのものがそれによって光り輝くような私以外の何か。私が欲しているのはそうした厚みを持たぬ 透明な形容詞 だ。「服部」・・・そのまま過ぎ。阿蘇山の灰と消えよ。何人かの命が露と消え館が色のない恐怖に染まったその時、一人が次のように言った。 「はだか、です」 ・・・・誰の? 「いえ、「はだか」です。誰のということではなくて・・・・・」 ・・・・・私の裸は裸を連想させるのかね?誰のということではない? 「そうです。うまく言えませんが」 ・・・なるほど。・・・・・よろしい。今夜の夜伽を命ずる。 「やはりそれも罰なのですか?」  白目を向いて彼女に突進した私は、眼球を散々なめ回しそのまま吸い上げ、掌底で歯を粉々にし鼻が反対側に突き出る程の突きを入れ一瞬で絶命させ、脳を 調理し蟹味噌ならぬハニー味噌、大金槌で四肢を叩き潰し平らになった手足を切り離し綾取り、指と指を絡めて名残を惜しんだ後孫の手がわり、万力でさらに 丁寧に念入りに丁重に丁重にはれ物のように万遍なく力いぱーいそしてさわやかーな汗が出るくらいには愛と力を込めて潰しハンバーグにして近所に配りあら 薄いのねと臭いババアに言われ逆上、一家皆殺しジェノサイド我に返り焼香のふりした後帰宅、爪はもちろん全部取っておいて荒野に投げ捨て鬼は外、もうお やめくださいと止める祖父の頃から勤続五十年の執事を殴って殴って殴って殴って手から骨が露出しそこからおまえの魂がすすり泣いているのが透けて見え、 ティッシュをどうぞ、さらに砕くと奥の部屋でファウスト博士が世界を変える契約をまさに為そうとしていた。ティッシュを。街路にはしりでてドブを花畑に 変えるかわりにボウフラが巨大化する魔法で街を浄化。写るんですをごっそり買い込み全て壁にたたきつけ、トルソだけになった身体の両乳首を一舐めし中指 でくりくりした後ベアハッグで胴を抱き潰しジャーマン、疲れたのでバスローブに着替えてワインを一飲みしハバナ葉巻きで一服、足を組み替えこれは誰のた め?俺のため?漏れのため、そうトイレ、休憩5分延長の由ママンとパパちゃんに伝えてください、膀胱から発汗以上足寄より、目鼻の判別 のつかなくなった 生首をこれでもかこれでもかと抱きしめ頭髪を全部剃り落とし「マルコム」と殴り書くことによってパンクの精神を受け継ぎ、皮膚という皮膚に噛みついた後 はぎ取って試着、残りを踏みつけるだけ踏みつけGO!シュート!月まで飛んでゆけ、残った肉片は他の奴隷に食べさせ糞尿はもう一度食わせて何も出なくな るか餓死するまでリサイクル、その後バリウムを飲ませ消化が不十分なものには同じ処刑サイクル、そして夜が明け、一つの生が生きられたのだという痕跡を 完全に抹消する頃には、涙も枯れ果てていた。