長距離バスで大阪に向かうため、朝8時に東京駅へ。7時間強の道のりだが、江崎さんと経験したミラノーバルセロナ間バス17時間に比べればなんてことない。昼特急大阪は座席も一列三席で結構ゆったりしてるので、快適だ。浜松のサービスエリアで休憩があって、せっかくなのでうな串を食べてみたところ、小骨が喉に引っかかってしばらく辛かった。普段乗り物酔いはしないんだけど、これまた多分うなぎのせいで気持ち悪くなる。うな串は食べなければよかった。浜松といえばうなぎだろうと思ってしまった僕が悪かった。バスのなかで、こないだ泉君が貸してくれた『貸本小説』を読んだ。貸本マンガは今日でも根強いファンがいるけれど、小説はなかなか未知の世界だ。全盛期の昭和三十年代初頭には、全国で二万〜三万軒の貸本があったそうな。で、読み捨てられることを前提とした小説が大量生産されたのだが、期待どおりその中には形容しがたい珍本奇本が含まれていて、それらにスポットをあてたのがこの書物。たいへん面白かった。その場の思いつきとしか思えないディテールと、整合性などはなっから念頭にないプロット。登場人物の名前が途中でかわってしまうような適当なものもあったらしい。それをこんなくだらないものがあったとただ引っ張り出すのではなく、歴史の影に消えていく運命にあったであろう作家の経歴をも丹念に調査し、当時の出版業界がどのような状況にあったのかを考察したうえで書かれていて、読みごたえがあった。細かいことだが、月日が経つと貸本みたいに変色する紙をしたという装丁も凝ってる。あとは考え事などをしていて、大阪に到着。地下鉄で心斎橋までいって、会場のFukugan +へ。ここは複眼ギャラリーが運営してるフリースペース。稲田夫妻、進、木下、江崎、服部など、毎度お馴染みの人々。あたりをぶらぶらして、タワーレコード心斎橋によったら、生きる伝説Bunさんに狙いすましたかのようにばったりあった。Bunさんのユーミンがまた聴きたいなぁ。普段まったく活動していないはずのブラジルだが、見る度にいいバランスになっていくような気がする。ソルマニアの大野さんのソロはやっぱりすごかった。終演後、複眼ギャラリー上の4Fcafeへ。驚いたことはこの建物は複眼オーナーの村田さんの生家で、このカフェは村田さんが子供時代に生活した部屋だったんだそうな。当時読んでいたという図鑑などがそのまま置いてある。ギャラリーの下にはアルケミー系列のレンタルボックス屋があって、またFukugan +のすぐ近くには村田さんのご両親が営まれている立ち飲み屋がある。なかなか心温まる話だ。大野さんと江崎、服部が野球の話で大盛り上がりしていたが、僕はまったくわからなかった。阪神ファンファンくらいにとどめておきたい。服部と二人で大野さんと村田さんのお宅にお邪魔し、焼酎を飲んで話してたら知らぬ間に寝てしまった。