フェスティバル二日目。朝起きるとわりと体調回復してる。ルルを飲んだのがよかったみたい。12時入りといわれていたが、例によってお迎えがきたのが13時前。レバノン時間、もう全然平気になってきた。教の会場はやたら立派な劇場。キャパは500人くらいだろうか。マザンのお父さんはこちらでは有名な役者さんだったそうで、この劇場に写真が飾ってあった。着くとマザンとフランツは既にセッティング中。フランツとマザンがマイクつかってやるということで、広さのこともあるので僕も導入することにする。PA使うとたいていしょげることが多いのだが、ここのエンジニアがすごくよくって、コンデンサー二本たててくれて、あんまりラウドにせずいいかんじだった。こういう技術者のレベルは結構高いんだろうか。セッティング後、例によってシャリフの家に戻る。ここの大広間にあるコンピューターが使えるかも、ということでトライしたが、インターネット回線、めちゃくちゃ遅いうえ、いくつか壊れて押せないキーがあって、かなりしんどい。アノマラスレコードがディストリビューションを廃業する、というおそろしい連絡がまわってくる。なんてことだ・・・。しばらくだらだらしてまたゆるーく会場に移動。客席にやけにガラの悪い人がひとりいるなぁと思ってたら、マザンに彼はデンジャラスだから気をつけるように言われる。なんでも、レバノンのハシシ農園の首領で、あらゆるドラッグ流通を一手に握り、外貨獲得に貢献している恐ろしい人物だそうな。自前の軍隊まで持っているとのこと。っていうか、そんなやつこんなコンサート見にくるんじゃねぇよ・・・。あと、呼ばないでほしい。フランツはその農園を見学に行ったそうで、この首領と仲良く談笑していた。おそろしい。それ以外にもお客さんは来ていて、なかなか盛況だ。シャベルとバンジャモンのデュオは、さんざん垂れ流した挙げ句、終われなくなってオロオロしてるのがなかなか味わい深かった。シャリフに、これはまぁアレだから・・・とかお茶を濁した説明をうけいた次のグループ「Jam B.」。これが最高。バンド名はもちろんジャンベにかけていて、パーカッション奏者が二人いて、しかもこいつら親子。伝統的な太鼓の家系なのかと思いきや、別にそんなことはなく、親子のコミュニケーションのために一緒にはじめた感がそこはかとなくただよっていて、好感度アップ。あと、ギターとヴォイスがいるんだけど、この二人が終止なにをやっていいのかわからない様子でジャンベ親父のほうが気合いをいれてキメのおかずを入れたりしてもキョトンとしていてよかった。しかも、終わった後、親父につかまって、どうだったよ!、と大声で訪ねられたので、君たち親子は最高のコンビネーションだね、と答えたらものすごい勢いで抱きしめられた。なんらかの自分探しに成功したのだろうか。ソフィーのソロはピアノの既成概念を打ち破ります系。忙しそうだった。で、マザンとフランツと僕のトリオ。怪人ふたりにかこまれてどうしようかと思ったけど、これは楽しかった。マザンはマウスピースとトランペットをチューブでつないで、垂直にしたベルの上に金物とかをおいてガタガタいわせているのだが、スピーカーにいろいろおいてガタガタいわせている僕と出音が似てて、へんなかんじ。フランツは、スースーいいがちな昨今のトランペット業界とは一線を画し、ものすごい集中力でオカルトな低音を吹き続けている。マイクをベルのなかまで突っ込んでいるので、クリック音とかがやたら強力だ。ベイルートのオーディエンスもおもしろがってくれたようなのだが、あのヤクザの感想をぜひきいてみたかった。で、この後ふたたびソフィーで、クリスティーヌとのデュオ。繊細な音紡ぎます系だったと思うのだけど、申し訳ないが開始3分くらいで爆睡したのでおぼえていない。いずれにせよ、昨日より段取りもよく、なかなかよかったんじゃないでしょうか。終わった後、しつこいようだがシャリフ邸。なんてったって今日はマザンの誕生日。会場でうられていたお菓子の売れ残りを積み重ね、ろうそくをたてたものがふるまわれる。あと、伊藤さんがおみやげに買ってきた日本茶ケーキは、バンジャモンがおもいっきり引っくり返して床に叩き付けられていた。