ロンドンにせっかくいるんだからお洒落スポットを訪ねたっていいじゃないか。ロック画報でアングラCDの暗いレビューをかいてるだけじゃないんだー。というわけで、ハイゲイト墓地にマーカス夫妻といってきました。二つあって、片方はガイド付きじゃないと見物できない。おっさんの能書きを聞きながら墓地へはいる。ここは素晴らしいですなぁ。マリオ・バーヴァ『血塗られた墓標』の世界ですよ。ハーバード・ウェスト君も大喜びなはずだ。こんな墓があったらそりゃ吸血鬼もでるわ。おっさんも生き埋めネタでオーディエンスのほがらかな笑いをさそう。死の気配が森の緑に溶け込んでいくようだ。写真でお見せできないのが残念です。首のもげた天使の像がペーソスを漂わせる。さて、もう片方の墓地には少々勇み足気味で。なぜってここにはかのカール・マルクスの墓地があるのだー。墓地案内図をみながら進むと、上にマルクスの巨大な生首像がのっかった墓石があらわれる。これは・・・・冗談なのか? 唯物論者のすることか? 万国の労働者諸君、マルクスの墓の上にマルクスの首をのっけていいのだろうか? まぁせっかくだとおもって、墓前でインターナショナルを歌ってみた。たーてーうえたるものーよーいまーぞひはちかしー、と拳を振り上げていると、上品な奥様が微笑みかけてくれた。マーカス夫妻と昼食をとるべくパブにはいるも、注文したものがなかなかこない。ダニエルが何度か催促してくれたが適当にあしらわれ、ようやく来た頃には時間がなかったので急いでたべていっぱいのこしたままsound323に走る。今日はブルクハルト・バインズとフィル・デュランのデュオなのだ。なんとか間に合って、一息ついているとマットがきた。再会だよ。うれしい。323のライブは地下の小さな部屋で、お客さんも10人弱くらいのアットホームな雰囲気でいいかんじ。わりとずっと音がなってる演奏だったが、ふたりとも音の切り替え方がすごく巧みでおもしろい。デュランはラップトップでほんとにいいと思える数少ないミュージシャンだ。小さいスピーカーで手元からならしているせいなのだろうか、音のてざわりが生々しい。ヴァイオリン以外の演奏はまだMIMEOでしかCDになってないみたい。ソロをだしてほしいな。30分くらい1セットの演奏で終了。こういう休日午後からはじまるこじんまりとしたライブいいな。値段もやすいし。3ポンドだから600円くらいか? みんなでお茶を飲みにいったが、コーヒーがすごいまずかった。いったんマーカス邸に戻る。テートモダーン、土曜は夜10時までやってるということなので、行ってみた。「cruel + tender」と題された写真展をやってた。20世紀の写真家をいろいろ紹介してる。特に印象に残ったのは、Lewis Baltzという工業用機械とか工場の扉とかの写真をとってるひとと、20世紀前半のひとで納屋の写真とかをとってたWalker Evans というひとと、これまた浄水場とかをテーマにしてるBernd & Hilla Becherだったが、どれも人間が被写体じゃないやつだ。チャリングクロス駅まで歩いて地下鉄にのって帰る。