マークとのツアー初日。今日から8日間連続だ。マーカス邸にマークが迎えにくる。時間ぴったりだ。意外に道がすいていて、途中ドライブインでダラダラしたにもかかわらず、予定より3時間あまりはやくリバプールにつく。せっかくなのでぶらぶらしてみる。ビートルズ発祥の地として知られるリバプールだが、この日は恐ろしいほど静まりかえっていた。なにかかがおかしい。ここには何度か来ているマークも、首をひねっていた。入ったレストランで理由きいても、さぁ・・・といってお茶を濁される。ダゴン? 人気の無さにおびえつつ、会場へ。ここはなんでも18世紀の建物で、孤児院に使われていた後、現在ではアーティストのための施設になっているそうな。準備を終えると、でっぷりとした腹にサイズのあっていない服をまとったIQゼロのレクター博士といったおもむきの男がにやにやしながらあらわれる。あきらかに狂人だ。おお、と思っていると、セッティングをはじめた。演奏される方だったのだ。おもむろにMDをながしはじめる。今日のライブのMCを吹き込んだもので、マークと僕の紹介や、CDを買って下さい、といったインフォメーションがよくわからないユーモア混みで再生される。ちゃんと仕込んでくるところがすごいな。後できくと今日のライブのオーガナイザー、フィル・モートン氏だ。やはりイギリスも地方に来るとおかしいのがいるなぁ。この男、ヴィオラとチェロの若者とのトリオで演奏。これがなかなかよかった。モートン氏、ゴミやらコンピューターやらいろいろ置いてある机をガタガタいわせるだけに使ったり、ものをなげつけてスピーカーを落としてしまったりと、やることなすことすべてが不完全燃焼に終わるのが最高。弦のふたりも、この街で生きていく以上、怪人と共生していかざるをえないことを悟っているらしく、なにもかもあきらめた表情で必死に演奏しているのがペーソスを醸し出していた。マークとのデュオは面白いよ。同時に音を出していてもレイヤーというよりは混じってきこえるのがいいな。あ、ちなみに、リバプールにきてまでまたしてもお客さん男性率100パーセントを達成! 終わった後、パブで打ち上げ。マンチェスターからわざわざ見にきてくれたという男性は、Lee Pattersonというサウンドアーチストで、もらったミニCDは花火の音をコンタクトマイクでひろったやつでたいへんよかった。角田俊也さんが気になっているらしく、あの方はプログレに造詣が深いですよとおしえるとしばし愕然としていた。宿泊はロジャーさんのお宅。かつて香港で提督をされていたという由緒正しい方で、今は観光名所になっているなんとかドックっていう港の跡地みたいなところに住んでいる。sound323のお得意さまだそうだ。