ここから数日間の日記はあとから思いだして書いているので事実と日付がずれている可能性があるが、多分誰にも迷惑はかからないのでうろ覚えのまま進める。フェス初日、会場に荷物を置いた後、早速観光へ。としさん、キャプテン、アミちゃん、僕でとりあえずカタコンベに行く。境界の地下にあるこのお墓、要するに無縁仏である。ペストで死んだ人がどんどん詰め込まれて、その数なんと約二万体。ここは勝手に見ることはできず、ガイドの後にぞろぞろついて行くしかない。加えて、しっかり整備されているので強く死の気配をかんじることはなかった。ただ、さすがにされこうべをあれだけまとめてみると、われわれ全員、同じものを顔の中に一つずつもっているとはいえ、感慨深いものはある。しかし、死体はドンドン放り込まれていたということだが、もし仮死状態のまま死体扱いされてしまったひとがいたらたいへんだ。気がついたらラッシュアワー状態でまわりの人が死んでいるのだから、いったいどんなキモチになのか、見当もつかない。しかしこんなものが街の真ん中にあるのだから、ヨーロッパの都市はおそろしい。これ、すぐ下を地下鉄が通っているのだが、掘るときはいったいどうしたんだろう。カタコンベの後、としさんはリハーサルのため観光から離脱。残った面々で時計博物館というところにいってみた。なかなか充実した展示である。ありとあらゆる時計にかこまれたキャプテンが「時間について考えてなければならないなぁ・・」と呟いている。僕は窓から通りを眺めていたら、ブルクハルトが歩いていた。気付くかなぁと思ってしばらく見ていたのだけれど、路地に入っていってしまった。またあとで会うからいいかと、とくに気にもとめなかった。それから、たまたま隣にみつけたお人形博物館に入ったところ、薄気味悪い西洋人形がずらずらおいてあって、ここはほんとに怖かった。カタコンベの比ではない。カワイイおべべを着せられておきながら目が完全に死んでいる。苦行のようなポーズをとらされているのがあって、それはもう伊東潤二の世界だった。アミちゃんは写真を撮りまくっていたが、僕は一刻も早く逃げ出したい気持でいっぱいだった。その後リハがあるので僕は離脱。会場に着くと、ブルクハルトがいたので、さっき見かけましたよ、と言うと、私はずっとここにいた、とのこと。どうやらドッペルゲンガーだったようだ。というか、本人のはなしによると、ブルクハルトのドッペル君は大勢いて、ここで僕と話しているブルクハルト自身が分身だそうだ。ご本人は家で寝ているとのこと。大きいPAで演奏するのはやっぱりむずかしい。