ショー

hibarimusic2004-08-14

CDのデザイン打合せで泉君とルノワール。モデルとして死人のふりをしたり、ゾンビ映画の写真をみたりする。努力の甲斐あり、かなり面白いものができそうだ。出発前に完成することを祈る。軽くご飯を食べようと、前から存在だけを知っていたアフリカ料理屋にはいってみた。スペースのわりにテーブルが少なく、店員のような常連のような人と、それからおおきなカメラを念入りにチェックしているひとがいた。友人の近況や仕事の展望について話しているうちやおら照明が暗くなる。電圧か?と思った瞬間、突然爆音でアラブ音楽が鳴り響き、肌もあらわな衣装に身を包んだ妙齢の女性が身をくねらせながら部屋にはいってきた。あまりにもおおきな驚きに接した際、人はそれが現実だと理解するのにしばし時間がかかる。どうやらこれがベリーダンスショーなるものだと気がついたとき、もう逃げ出すわけにはいかなくなっていた。想像してみてほしい。純粋な客はわれわれ二人であり、ダンサーは曲がりなりにもプロである。サービスのすべてがこちらに一極集中、空気は完全に凍り付いたまま、次から次へと悩ましげなポーズが披露されていく。つらい、逃げ出したい。だが、さらに追い打ちをかけるようにクスクスが激マズ。食べ物に逃げるわけにもいかず、完全にこちらにロックオンされた視点をそらしながらただただ時間が過ぎるのを待つほかなかった。あと、長いの。終わった、これで許される・・・と思うと曲がまた次の展開になって、また悪夢のような踊りがつづくのだ。おまけに途中からはいってきたこれまた客だか店員だかわからないおばさんに手拍子を強要され、抗う術もなくうつろに手を打ち続ける。途中からサーベルを持ち出して腰骨の上や頭の上にのせてクルクルまわっていたが、そこはちょっと面白かった。途中から、たぶんそういう展開になるだろうナァとおもって危惧していたが、案の定、ラストのクライマックスで客席からの飛び入りを強要。ヤケになった泉君はやおら舞台に飛び出し、ひとしきり見よう見まねのベリーダンスを死ぬ気で踊っている。まさしく死霊の盆踊りである。終わったときは開放感のあまり思わずスタンディングオベーションで拍手してしまった、一人だけど。マズいクスクスが冷めてさらにマズくなっている。シシカバブは一瞬おいしいとおもったけどあれはニク焼いただけだからな、あの気持ちは帳消しだ。さらに店の人が、今日はお盆で人こないからキャンセルしようかと思ったんだけど、素人きてるからやったよ〜、とかのたまっていたので、一瞬殺意がめばえたが、まぁ確かにわれわれはベリーダンスに関してはズブの素人だし、できることならこれからも素人でいたい。今夜この時間が、ベリーダンスについての経験値を上げたなんてことにもならないでほしい。ただ座って、多少手をうちならしつつ見ていただけなのに、なんだかはげしい失意におそわれた。


http://www.age.ne.jp/x/tunami/belly.mov