ザ・ティングラー/背筋に潜む恐怖

12/5
気温が低いせいかあんまり疲れがとれずグッタリしてた。夜はChisenhale Dance Spaceへマット、アンハラッド、ベン・ドルウのトリオにダンサーが5人はいったライブを見に行った。1時間強、地味でいい演奏だったような気もするが、私はどうもビジュアル要素がはいると集中できなくて、なんだかよくわからないまま眺めてしまった。打ち上げでいったタイ料理屋さんがけっこうおいしかった。


12/6
お昼、モモさんと近くにあるフィッシュ・アンド・チップスの名店トフスへ。以前いったときはあまりの量に閉口してしまったが、ランチタイムは魚が小さめでちょうどいいかんじ。さっぱりしてて美味しい。タルタルソースがまた格別ナリ。苦みのきいたオレンジをあしらったプリン状のデザートもおいしかった。ナショナル・フィルム・シアターでたまたまホラー映画特集上映をやっていた。http://www.bfi.org.uk/showing/nft/horror/index.html これは見逃す手はないということで、1959年ウィリアム・キャッスル『ザ・ティングラー』をみてきました。(以下、内容について記すのでこれから見る方はお読みにならないでください。字幕なしなので誤解があるかもしれません。)まず最初に監督本人がスクリーンにあらわれ、これから皆さんは世にもおそろしい映像をごらんになるが、悲鳴をあげることをはずがしがってはいけませんとアナウンスする。ヴィンセント・プライス扮するマッド・ドクターは「恐怖とは人体に潜む実体"ティングラー"である」という仮説に基づき、その正体を突き止めるべく浮気な奥さんを空砲で脅かしたり自分にLSDを注射したりと研究を重ねるが、やがてティングラーは絶叫によってその力を失うということに気づく。それで、知人の奥さんが血を見ただけでも卒倒してしまう体質な上、聾唖者なので悲鳴が上げられないことに注目、ヒドい話だが睡眠薬と偽ってLSDを注射、幻覚によりショック死させ、体内から恐怖の実在たる「ティングラー」を摘出することに成功。ムカデとエビの間をとったようなヌメヌメした生物だった。カゴにいれてしまっておく博士だが、まぁこれをめぐっていろいろあって、サイレント映画シアターにもぐりこんだティングラーの影がスクリーンに大写しになるという名シーンがありました。恐怖そのものが映画に降りた瞬間である。かなり反則技だが。客席に電流を流す、といったビックリギミックで知られるウィリアム・キャッスルだが、この映画の上映時にも映画館にモーターを仕掛けてあたかも客席にティングラーがいるかのような演出をしたらしい。で、恐怖による死から免れるためにも映画館でおもいっきり悲鳴をあげましょう!、と最初のアナウンスを説明するものとしてこの映画全体が意味をもってくるのである。この特集、今月いっぱいくらいやっているようなのでロンドン在住のみなさんは是非。