初日

朝おきて近所を散歩。水を買う。アビー邸でベーグルをいただく。そういえば昨日の機内食以来なにも口にしていなかった。今日から三日間erstquakeフェスだが私は初日出番なし。とりあえず楽器だけ置きにマンハッタンにある会場に向かう。途中、ワールドトレードセンターを通りかかったが、うーんさすがにここはまがまがしいどころの騒ぎではないな。この空白に人類が持ちうる最大級の怨念が凝固しているような気がしてものすごい気分が悪くなった。背にして歩いているだけでもなにかがのしかかってくるようだ。会場でマーク・ウォステルとsound323でデザインをしているダミアン・ビートンの二人に再会。やはり気心知れた友人はよい。昨日からなぜか緊張していたようなのだが、バカ話をしているうち気が晴れる。その二人とトーマスの四人で喫茶店にいって、ロンドンの近況をきく。ロードリはかなり忙しくしていて、マットは影を潜めているらしい。はじまるまでなにもないダミアンと私は散策。ティム・バーンズにおしえてもらったレコード屋さんロケット・サイエンスにいき、そこで先日言及したばかりである「2000人の狂人」のサントラを購入。これはうれしかった。あとレイモンド・スコットやスパイク・ジョーンズなどで散財。あとDVD屋にもいったがホラーものはやはりかなり充実していた。開演が迫っていたので地下鉄で戻る。フェスティバルは一晩で5セットというかなりタイトな状況なうえ、1セットごとが長く正直辛いものがあったが、ジュリアン・オッタヴィとディオン・ワークマンのデュオは相当よかった。ジュリアンは数年前、大蔵さん江崎さんと一緒に欧州ツアーにいったときナントで世話になったひとで、apo33という団体をやっている。二人とも文脈でいうとラップトップノイズということになるのだろうか、ただlinuxベースのフリーソフトもつかい、自作のソフトはオープンソースで公開し、作品はコピーライトフリー、ということを徹底していて、まぁそういう側面から音の価値について考えるというひとたちだ。そうした背景と矛盾のない、野蛮な音色にもかかわらず構成に気配りの行き届いた非常にいい演奏であった。このフェスは会場に飲み物がなんにもないので、ちょうどニューヨークにきていて見に来てくださっていた内橋さんととしまるさんで近所にビールを買いに行ったりして、楽しかった。しかし全体が長く、最後のセットは途中で脱落、マーク、ダミアンとショーン・ミーハンと近くのパキスタン料理屋に行ってしまいました、ごめんなさい。終わった跡数人で中華屋へ。さすがにあまり食べなかったが、後ろの席に手品をやってるおじさんがいて、たまたま同席していた別のおじさんがあきらかにイヤそうな顔をしながらトランプをひかされたりしていた。マルガリタは風船で作ったプードルをもらっていた。そのあととしまるさんと二人で世の中への不満をブツブツいいながら歩いていたら、工事現場にすごい勢いで突っ込んだ車を目撃。あれはおどろいた。深夜の地下鉄にのりジャージーシティへ。夜は治安がわるいといわれたがそうでもないじゃないかとか話していたら、道ばたにハイヒールを片方握りしめたまま突っ立っている青年を見かけてなんだか怖かったです。