夜半歌声

hibarimusic2006-07-20

昨晩、上海で買ったDVD『夜半歌声』をついに観た。高橋洋さんの『映画の魔』でこの映画についての文章を拝読して以来、なんとしてでも観たいと思っていた作品。よく考えると超自然的なことはなにもおこっていないのに、これぞ怪奇といわんばかりのまがまがしさにみちた映画。ロン・チャニー版の『オペラ座の怪人』を彷彿とさせるけれど、怪人の造形、その運命の救いがたいものがなしさ、暴徒と化した群衆のおそろしい描写、どれをとってもこちらのほうがやばい。そもそもこの時代の上海は、こういう不吉さに満ちていたのだろうか。というのも、この監督のフィルモグラフィーをネットで探してみたら、『黒夜怪人』『混世魔王』『人間地獄』といったタイトルがずらりと並んでいて、たしかにこれはただごとではないという気がするのである。一夜明け、フィルムセンターのロシア・ソビエト映画特集でジガ・ヴェルトフの『レーニンのキノプラウダ』と『レーニンの三つの歌』を観る。