アンバランス

服部フェスティバル、祝祭主を酩酊させるというコンセプトはこちらの予想を超え、惨憺たる有様を公衆の下に晒すという結果になってしまい申し訳ない気持ちでいっぱい。やはりこのあたりの一味はEVさんがいないと知性と品格に欠ける。他人の忘年会を見せられたようだとの感想もいただきましたが、でも個々の出し物は楽しんでいただけたとせめて思いたい…。SP盤で踊り狂う映像、小学生のときエアチェックしたオープンリール、いいかげんにこなす窓清掃風景をおさめた8mmなどあいかわらず無尽蔵な趣味の世界を垣間見せてくれた中尾さん、自分の小説を説明し、その場でいらぬ解釈を加える泉君、服部の暴言にもめげず力作アニメーションを上映してくださった齊藤さん、そしてきのこと野鳥の図鑑を朗読するためだけに神戸から駆けつけてくれた江崎さん、ほんとうにありがとう。年末年始はあわただしく過ごしたがビデオなどもすこし見る。鈴木清順が監督した『恐怖劇場アンバランス/木乃伊の恋』。これはすごい。こんなものがテレビで放映されていたとは。入定し即心仏となったお坊さんが100年以上たった後に掘り出されて復活。徳の高い仏さまかと思いきや、この世に残した情欲への未練のため色情狂の白痴であったというかなりマズいおはなし。子供が生まれるシーン、いまみても十分トラウマ体験。あと小学生以来久しぶりに観る『ゴジラ対ヘドラ』。子供の味方ゴジラはあまり好きになれないところはあるのだが、ヘドラの存在はやはり強力で面白かった。公害、環境汚染そのものが怪物化して人類を襲うのだ。体に硫酸成分が含まれているので通過するだけで人間は白骨化する。まぁそんな怪物を、水爆の怪物であるところのゴジラがやっつけるのだから人類にとってはムシのいい話である。昨日ばったりお会いした畠中さんともお話ししたが、主題歌がかなり印象的だ。
http://kyoto.cool.ne.jp/666_monster/songs/01k/14-vs-hedora/
いま現在2005年バイト初め中。でも仕事がなくてヒマなので昨年を振り返ってみることにします。春、秋、冬とそれぞれ一ヶ月弱、欧州遠征をして、来日ミュージシャンのライブ企画もいろいろやって、ずいぶん人の輪が広がった一年だった。誰が重要、とういことではないけれど、クラウス・フィリップとかニコス・ヴェリオティスとか、今後の音楽(だけにかぎらないけど)人生をより面白いモノにしてくれるであろう決定的な出会いがいろいろあった。とりわけマッティンと行動を共にしたのはほんとうに大きかったとおもう。二人で3週間で9カ国、ライブ17回というアホなツアーをやって心身共に消耗し尽くし、渦中にいる間はふざけてる間に終わってしまったというかんじだったけれど、今からおもうと自分でも意識していなかったドグマや美学や価値観が毎日瓦解していくような貴重な日々だった。日本に来てたときに録音したデュオを「死霊のコンピューター」と題してCDにもした。泉君のイラストはいつもながら最高だ。局所的に話題になっているようで嬉しい。セールスにはまったく結びついてないけれど。あとヒバリからはJean-Luc Guionnet "tirets"も出しました。これ世紀の傑作だとおもうんだけどなぁ…。ウッカリ千枚つくっちゃったけどこれもまた私の手元から去っていってくれません。印象にのこったCDをあげると、ヒバリをのぞくとNikos Veliotis"Radial"、杉本拓/戸塚泰雄/Mattin "training thoughts"、大蔵雅彦"time service"、豊田道倫 "sing a song"、松永孝義"The Main Man"、船戸博史"Low Fish"かな。映画はけっこう観ていた気がしたけど、よく考えるとビデオが多くて封切りにはあまり行っていなかった。今思い出せるかぎりでよかったものは『ツールボックス・マーダー』『スパイダーマン2』『スクール・オブ・ロック』『キューティーハニー』『稀人』といったところ。『ソドムの市』はいろいろ考えるきっかけになった。あと、はじめて映画音楽をやった古澤健ロスト★マイウェイ』、これは何度も何度も見返して、人生に残る一本となる。2005年もいろいろ。二月に一度かそれ以上のペースで来日モノ企画をすることになりそう。去年はいろいろ録音したのでリリース活動もがんばらないと。あと、デンジマンとかサンバルカンとか戦隊ものをまとめて観たいと思っているが量が量なので最初から挫けそうだ。今年もよろしくお願いします。